ストーリー
陰湿なビルの地下から出てみると、
まぶたでは保護できない青空から
光線が降り注いでいた。
大抵は西へ東へ、1日の義務を片付けようと急ぐ人達でうんざりする光景が広がるはずだが、祝日らしく見通しが良い。信号の反対側までよく見える。陽気に照らされて、傷ついている街路樹でさえも力強く生命を見せつけては、緑を叫んでいた。
その日の朝に仕事が終わり、このまま河川敷で友人達とバーベキューをする予定であった僕は、かねてからの約束通りの時間にかかってきた電話が嬉しかった。
今日一緒に過ごす連中について、詳細は濁しますがいわゆる普段の生活とは無関係で、色々な人が来る予定。久しぶりの旧交を確認し、励ましあい、涙ながらに暖めあい、育むのでしょう。
そんな中、事前に連絡を取っていた人からの着信である。
出会った頃は18歳で、現在は20歳になったとか。そんなに古くない友人なのです。
まず、最初からインパクトの塊だった。
とても頭の回転が速い人で1つの事をやるのに誰よりも手が早かった。
集団で話してる時も1人、突拍子もない話題で話しかけてくるし相手が応える頃にはもう別の話になっている。それでいてそのキレイな容姿からか何なのか、人に愛されるのである。
当時は被告として裁判中だった。いや、個人的な事なのでまたしても詳細は濁しますが、反射的にやり過ぎてしまったようです。本人は困ったように教えてくれたが事実であればかなり残虐かと思われますが、、、
笑ってしまった。
後から他人に聞いたのだけど
土地柄か、実家がとても怖い家だとか、、、
何にでも興味ありそうで何にも興味が無さそうなそうなその子は何故だか歳が倍近く離れた僕に懐いてくれて、遊んでくれるのだが小さな僕は内心それが誇らしい。
とまれ、移り気で約束も平気で破りそうなその人が律儀に電話してきたので嬉しい。朝の10時に2時間かかるところからちゃんと来てくれて少し意外だったけど。
取り止めも無く、皆でバーベキューを愉しみ、今は会社を経営しているとの事でその子が幾分礼儀正しくなっていた事を皆で笑ったり。
帰りは反対方向に1時間かかる僕の家まで送ってくれてありがとう。
購入した時にはキレイだったBMWがあちこち凹んでいて、僕は苦笑いしてしまいましたけども。
関係ないけど
東京にでも引っ越したいなあと思っている。
長浜ラーメン
2.3先の駅近くにある長浜ラーメンという赤暖簾が気になった。
もちろんそこは長浜ではないし、隣県の方が近い。いやもう隣県扱いしてますよ、たまに。結構な田舎。
ついに機会を得た僕は、すわ、とその赤暖簾を目指した牛である。
途中、海岸線を通るのだが陽射しが美しく大変気持ちの良い祝日であった。
左手には整骨院本日開院、本日のみ治療無料と手書きで書いてあり色々アウトな4坪ほどの丸太小屋が見えた。見てない。忘れよう。
目的の赤暖簾をくぐると、完璧だった。
テーブルにはもう10数年はその席に居座っていそうなおじいさん、打ちっ放しの床とカウンター、と昼なのになんか暗い店内。切り盛りしているおばさん3人。割と間を空けずに入ってくるお客さんなど。
セルフ・サービスの水を手に取ると横の漫画棚に目がいった。
「火の鳥」が揃っている、いやいやラーメン片手にささっと読めるような漫画じゃないでしょこれ。
あれか?ラーメン道みたいなものがあって輪廻転生となんか関係あんのか?いや、ただそこにあるだけか。
ラーメンを頼もうとしたけれど、是非に、という具合に高菜ラーメンが推奨されていたのでそちらにした。
テーブルに座っていた小学生達の替え玉を呼ぶ声、世間は連休中なのです。
程なくして高菜ラーメンが届いた。
これは、、、とてつもなく臭い。
表面もラードの透明な層が分厚く横たわっている。
当たりだ!と思いました。
すみません、度が過ぎたものが好きなんです。とてつもなく辛いものや、強力なアルコール。ものすごく早い音楽や、ほとんど聞こえない声。あの、圧倒的に蹂躙される感じ。
もちろん普段からそれは選ばないが
ここにまたノックアウトされたい時の為の選択肢が増えたと思った。
勢いあまり、替え玉を頼んだが4分?くらい来なかった。手違いがあったので謝られた。ラーメンは冷めてしまったが別に良い。手違いも知ってたし。
会計の時に、実は高菜が足りなかったから50円マケますときた。
500円+替え玉100円で600円のはずだったがレジで別のおばちゃんに700円取られた。正規の値段より高くなった。なんかクラクラして、望みどおりノックアウトされた。
無花果
何もない気分で目がさめる時がありますよね。
昨日はキングクリムゾンのスターレスを聴きながら寝たようだった。
役割り。けど
大きくてキレイなものが見たい、と思い立ち、2人くらいで桜の名所を訪れた。隣県にあるそこはとても美しく圧倒的だそうだ。
道中、旧城下町によって名物のカレーパンを食べたり、まだ季節にない鮎の看板に思いを馳せた。早く六月になればいいなと思ったがそれでは桜が無くなってしまうのでお行儀良く、順に楽しもうと思います。
など。
もうここで良いではないか、と思うほどの咲き方をしていて僕は溜め息が出る程感動しました。
いえいえ、それはなりませぬ。私は行くのです。
途中幾度と無く素敵な風景に時間を奪われた。もしくは捧げた。
目的地に到着してみると断崖絶壁の麓の道路から見上げる格好で息を飲んだ。暴力的なまでに美しいのです。ずっと見上げていました。
多分口も開いてたと思う。よくわかんないけど何だか傷ついてしまって
オレは生涯、感傷的でいるんだなと思い知りました。