さようなら

別段、アウトでもローでもない私立高校生だった。

力は弱いが勢いだけがあり、友達がいる自分と、誰とも共有出来ない音楽観の本心とで何だか自分が2人いるようだった。


当時は他人に合わせまだ珍しい事でスケートボードもして目立つところにピアスを開けて何だかカッコつけていた。おかげで学校の外にも友達が増えたが、なんか違うと思っていた。


当然、お金などないのでCDやレコードを買う為に日雇いのアルバイトをしたりした。

そうするとまた色んな事を教えてくれる人達と知り合った

20歳を超える人達と遊ぶ高校生となり自分で買えないレコードを聴かせてもらったり大変面白かった。


18歳以下でも入れ墨をいれてくれる人も紹介してもらった。


夜に予約を取り付け、前から彫りたいと思っていた文字を用意してその人の家へ向かった。

その人は全身墨だらけだったが特に

腕に入っていた「うる星やつら」の入れ墨が最高だった。


音楽の話をしたり、まだ僕が未成年だったのでなぜ入れ墨をいれたいのか、なぜその言葉なのかよく聞いて、よく考えるように促されたが

話を聞いてくれて墨を入れてくれる事になった。当時はホントにそれ程の事だったのです墨を入れると言う事は。小さいけど。僕の年齢のせいでお互いのリスクもかなりあったし。


学校は通っていたので水泳の授業は全てパスした。他人に見せても良くない事しか起こらない筈だったので出来る限り誰にも内緒でいた。

彫ったその言葉は当時とても僕に影響を及ぼし今も原動力になっているかもしれない。


先日、その彫り師の人が亡くなった。とてもたくさんの人に惜しまれ愛されていたのはきっとそういう人だったのでしょう。


おやすみなさい、あなたの記録は僕の肌に記されています。生涯忘れ得ぬ事よ