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日本海VS太平洋

どうでもよくなって外に出た。

いっそ車輪になってしまいたかったがそれで海を渡るのは辛いだろう。

なので電車に乗って海を渡った。


速さは関係ないので鈍行に乗り、一先ず本州を時計回りにする事として後は考えずにいた。途中で降りたり、旧武家屋敷を見て回ったが小さな堀に泳いでいた金魚しか覚えていない。


ふと思い出したけど以前、余り仲が良くない人と車中2人になりホントにどうでもよくなって「あ、あそこにUFO飛んでますよすごいですねー」と適当に言ってみたところ、ムスッとされてしまい、元の絶妙な雰囲気の悪さに戻った。なんだその態度は。UFOが飛んでなくてムスッとしたいのはこっちだ。

なぜ今思い出したのか。金魚とUFOは何かあるのか?ないよな。


松下村塾的な何かを拝み、駅=次へ向かった。どこへ行こうというのか。どこから来たというのだ。

 誰が愛を呼んだのだ。


車窓から見える日本海は暖かくなってきた頃でも威厳ある寒さを備えており、とても美しかった。ついぞ降りてやっと四畳半程の砂浜を探し出し居座ってみた。今や浜辺の民主的な王様となった僕は侵略する波を恐れ、亡命した。

大変にキレイな浜辺で、行かなければ良かった。見ているだけで良かった筈だ。

日も落ちて暗くなってきたので1日の終わりを考え始めた。時間を数学的に逆算してみたところ砂丘があったのでそこを目指す事にした。


最寄りの駅に最終電車近くで辿り着き、砂丘はどこか?と問いしところ、数多の売り子いうよう、西へ進め、さすれば辿りつかん。との応えにかたじけないと言い放ちその場を後にした。背後にはつむじ風が吹いている筈だった。


砂丘への道は徒歩では遠く、街灯もなく、トンネルもありちょっと大変だ。後で聞いた話だがちょっとした肝試しスポットだそうだ。こわくない?言ってくれよ。


有名な話だと思うけど砂丘はやはり砂だった。物凄く高低差もありなんだか危険な気もしたが今夜はここで眠ると決めたので寝袋をひいた。

砂の女」を少し思いだした。


目が慣れて、落ち着いてくると星は綺麗で砂もキラキラと光っており気分は良かった。横にはなったものの、眠れない。恐らく2時間くらいは物思いにふけっていた。やがて訪れる眠りの浅瀬まで。


目覚めてみると雨が降っていて辺りは泥になっていた。流石に狼狽した。大きな泥地の中にいたので何だか切なくなったが脱出する事を先にした。後で思ったが心だけ泥に沈めておけば良かった。


砂丘の入り口?の方に行くと偶然お祭りの準備がされており、バンド演奏もあるとの事で出演者名簿を見ると「砂嵐」と書いてあり、何だかとても情け無い気持ちになって砂丘を後にした。


大体、自然は嫌いだ。偉大なのはわかるが強過ぎる。ちょっとすればすぐ咳き込まされるし、何だか肌だってむず痒い。赤く腫れるのだ。


しかし、集団になった人間は更に恐ろしい。あの手この手で快適さを求める。同種であろうと、快適さの為に傷付け合う。私はそんな集団から離れ、個になろう。私1人で個にして全、ここで道を指し、示し、山を建てよ、石碑を掘れ、名を唱えよ!願い給え!諦め給え!私は我が足元へ身を投じ、我と我が身は召されるであろう!



数百キロ離れた人工の湾に移動し、そこらへんにあったビーチ・パラソルの下でくつろぎながら、以上のようにふざけて一人開眼した。皆さんもどうですか? レジャーとしての悟り、スポーティな開眼。何となく立法。しかしこの環境で悟りを開けるのであればそこら辺は仙人だらけである。仙人が千人いるのだ、いや、もういい。ホントいい。何だか砂嵐以上に情なくなってきた。


たかが数年、バンドをやっているだけの奴がどうした事か仙人気取りの時がある。何だオマエは。どこからその自信が生まれてくるのだ。ゲージツというのがそんなに尊いのか。尊いものの中にオマエはいるつもりなのか。


なぜ俺は海に3度も寄ったのか、またしても日が暮れて、河川へ行く事にした。水には変わりなかったけども。


その河川には中洲のようなものがあり、もうどうでも良くなった俺はザブザブと服を着たまま入って行き、中洲に砂だらけの寝袋を叩きつけ、寝そべってやった。流石に疲れがあり、眠るのは早かったようだ。だが、小1時間程で起きた。というか起きざるを得なかった。

目の前に大きな松明を燃やした船が火の粉を撒き散らし観光客を乗せて、鵜飼を見せているのであった。観光客どもは不意に中洲にいる僕の方を注視し、とてもバツが悪かった。

結局、ただの観光地なのに何だかヤケになって大きな気分で寝ていた僕はとても恥ずかしい気持ちだった。

不貞寝した。絶対にどきたくなかった。



続く、と思う。